続・すみっこの記

富山生まれ下請けIT育ちのフリーライターが布団の中からお送りします

『「うつ」とよりそう仕事術』を読みました

ジュンク堂新宿店も「本当に売りたかった本」にあげた1冊、酒井一太『「うつ」とよりそう仕事術』を読みました。

ふつうの人が書いたことに価値がある

この本を書かれた方は闘病中の現役サラリーマンだそうです。ご本人も「はじめに」の中でおっしゃっているのですが、いわゆる「ビジネス書」の著者さんたちはスゴイ人たちばかりです。しかしすべての人が、才能があり努力を惜しまず、チャンスをしっかり掴んで成功してきたスゴイ人たちの真似をできるかというとまず無理です。
この本のいいところはご本人が実際に行ったことを淡々と書き連ねてあるところです。ふつうの生活を営んでいるゼロの状態からプラスに持っていくのではなく、ゼロですらないマイナスの状態からゼロに戻ろうとするまでの道程を「こうしましたよ」と語ってあります。読んだ人は、自分にも当てはまりそうなところを真似ればいいのです。

「スゴイ人が書いた本」に食傷している方でも安心して読める、「ふつうの人が書いた本」だと私は感じました。何しろ、他でもない私こそが「スゴイ人が書いた本」に食傷気味だったもので。

「うつ」に対する正しい理解をうながす

この本は最初から最後まで、主な読者、つまり「うつ」をわずらっている人たちに対して「うつ」に対する正しい理解を促そうとしているように思えました。
「うつ」は苦しい。その苦しさはまぎれもない事実なのだからそれ相応の対処が必要です。しかしその一方で、「うつ」に甘えてしまってもいけない。ご本人が見出した「うつ」と正しく付き合ってよりよい生活を目指す方法が四つのステップで説明されています。
「自分の心が一番信用できない」という状況は間違いなくうつ病をわずらった人たちを恐慌に陥れるでしょう。今まさにその状態にある人たちへの慰めようとしているように感じました。

すべての心弱き人々にあてはまる内容

この本は「うつ」を押し出して書いてあるのですが、適応障害などもふくめたあらゆる「頭のエンスト状態」に陥った人たちにあてはまる箇所が多いのではないかと思います。
そもそも「うつ」は誰でもわずらいうる病気です。わたしもあなたも誰も彼も、心が疲弊して磨り減って、完全な「うつ病」にならずともその一歩や二歩手前までいってしまうことはあってもおかしくありません。
「ああ1週間が長い……」と感じる人は、この本の「応用編 職場でできる小さな工夫」の内容をうまく応用すると1週間がもう少し短く感じられるようになるかもしれません。

 

ところで内容とはあまり関係ないんですけど、この本、カバーがとても素敵です。写真の中のコーヒーカップを生かしたレイアウトとか、「それでも明日、職場へ向かうすべての人へ。」というコピーとか。

こういう「ふつうの人」が書いた本が読みたいんですけど、あんまりないですよね。

 

それでは、また。

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