続・すみっこの記

富山生まれ下請けIT育ちのフリーライターが布団の中からお送りします

ルーツオブライフ

高校以来の旧友が言うには「富山県を離れる人はものすごく富山が好きか、ものすごく嫌いかのどちらか」だそうですが、その場合「ものすごく嫌い」な方、ゆのきです。

私の実家は、県外出身者が10人中7人は所在地を知らなそうな富山県の、さらに片田舎の水田が一面に広がる地域にあります。駅も本屋もファーストフード店も、コンビニでさえ車に乗らなければ行くことができません。

富山の嫌いなところはいくらでも挙げられます。職がない、公共交通機関が整っていない、テレビでアニメがほとんどやっていない。とりわけ嫌なのはその気候です。

夏の気温はときには熊谷や館林に匹敵するほどに蒸し暑く、秋の終わりには延々と冷たい雨が降り続け、冬には大粒の湿った雪が降って道路を塞ぎます。空は年中薄い雲に覆われており、特に冬は分厚い黒い雲が一日中埋め尽くしています。

ただ、どれだけ嫌っても、東京に住む時間が長くなろうとも、自分が「富山県民」以外になれるとは思えないのです。富山を「嫌いだ」と思うその気持ちで富山に縛り付けられている。

実家に帰った折、夕方になってから散歩に出かけました。水田の脇を歩くと、地面に水が浸み込むじわじわという音がします。かつてサンダルで駆け抜けた、家と家の間の薄暗くじめじめとした路地はコンクリートで舗装されていました。

夏の風は一面の稲の葉をさらさらと掻き乱し、どこかで枯れ草を焼く臭いを含んで通り過ぎていきます。刈り入れの終わった麦畑では雲雀が鳴き交わしながら虫を探し、畑の隅の柿の木では蝉がじりじりと声を張り上げていました。

どうしようもなく、そこは私を作った場所でした。

 

というようなことを昨日の記事で書こうとしていたのにセッション切れで消滅しました。素敵な曲を紹介してもらったので貼っておきます。

それでは、また。

おおかみこどもの雨と雪 (角川文庫)

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