続・すみっこの記

富山生まれ下請けIT育ちのフリーライターが布団の中からお送りします

女は、妻は、母は、強くなくっちゃ。『生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント』を読みました

本屋やCDショップでその姿を見かける度に、「また変わったなー」と思う女性が2人いるゆのきです。ひとりは中学生時代に「本能」で私の心臓を撃ち抜いていった椎名林檎、そしてもうひとりが高校生時代に『ぼくんち』で私の胸を穿っていった西原理恵子です。

私とサイバラとの出会い

まだ白いブラウスに紺色のミニスカートを翻す女子高生だった頃の私に西原理恵子の本を貸してくれたのは、私にcali≠gariと中村明日美子を教えてくれた女の子でした。『鳥頭紀行』シリーズや『できるかな』シリーズが多かったかと思います。

鳥頭紀行―ジャングル編

鳥頭紀行―ジャングル編

できるかな (SPA! COMICS)

できるかな (SPA! COMICS)

「お金がないのは首がないのとおんなじ!」こう言い切り、「お金のためならどんな仕事だってする」と世界中を飛び回る、黄色い服を着て赤いスカートを穿いたおかっぱ頭の女の子に、私は強く心惹かれました。

それからは自ら彼女の本を集めるようになりましたが、年を経るにつれだんだん彼女の作風が変わっていっているなぁと感じました。

麻雀で大負けして泣いていたスカート姿の女の子が、体当たり企画をガンガンこなすもんぺを穿いたおっさんになる。頭を丸めたかと思うと、割烹着にひっつめ髪のおかあちゃんになる。彼女が描く「彼女自身」が変わっていくと同時に、彼女の描く作品もどんどん変わっていきました。

アル中の男の人と結婚し、彼との間に子どもをもうけ、家を買い、アル中を克服したかと思うと今度は癌を患った旦那さんと共に闘病生活を送り、その最期を看取り喪主をつとめる。数々のハードなライフイベントをこなすうちに、サイバラという女は、妻は、母は、どんどん強くなっていったように思います。

サイバラの背骨

サイバラのこれまでの作品を読んできて、また今回『生きる悪知恵』を読んでみて、彼女には週刊少年ジャンプの三本柱にも似た「背骨」のような信念があるように思いました。

「お金は大事」「男と寝なさい」「子どもを産みなさい」。

こう書くと嫌な顔をする人もいるかもしれませんが、どれも彼女の作品を読んでいれば筋が通っているのです。多くの土地をまわり、多くの人々に出会ってきたことで育てられた彼女の信念は、『生きる悪知恵』のそれぞれの悪知恵に表れていました。

この悪知恵は本当に「正しくない」のだろうか?

この本はサブタイトルで「正しくないけど」と言っていますが、実際読んでみると決して「正しくない」とは思えませんでした。強いていうならそれは「(小学校の道徳の教科書が絶対に正しいといえるなら)正しくない」のだと思います。

『生きる悪知恵』は迷いやすい人、弱い人、真面目な人、苦しんでいる人に勇気を与えてくれるある種の「正しさ」を持った本でした。

 

今日も作品を生み出し続けているであろう西原理恵子。彼女の変化が今後も楽しみです。

それでは、また。

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