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続・すみっこの記

富山生まれ下請けIT育ちのフリーライターが布団の中からお送りします

下請けシステム屋はいつまでこんな契約を続けるのか?

「すみっこの記」廃墟

先日、会社の同期から別の同期が睡眠障害に陥っているらしい、ということを聞かされました。「出社に支障が出ている状態だが、医者に言うと休職させられる」と思っているそうで、状態をドクターに全て伝えることはしていないそうです。私が休職してから、他の同僚の休職や神経症の話を聞いたのはこれで5例目くらいになる気がします。

なぜ私たちは心身をすり減らして働く羽目になるのか

一体なぜ私たちはこんなにも心身をすり減らして働く羽目になるのでしょうか。これについて同期と話し合った(というか私が一方的に考えを述べていた)内容をここに残しておきたいと思います。

チームと案件のミスマッチ

うちの会社の営業部は「受注する」ことにかけては優秀なのだと思います。実際売り上げ自体は伸びているそうですから、間違いありません。しかし彼らには「己の手牌を確認する」という意識が欠けているように思われます。

彼らの手牌とは即ち実際に案件に手をつける技術者たちです。技術者たちは各チーム個性を持っています。その個性は過去の経歴が形作ってきたものです。「PL/SQLを用いたECサイト構築・運用」を行ってきたチームと「数百人規模のメールサーバ構築」を行ってきたチームは全く違う個性を持っています。

どのチームがどんな仕事をしてきたのか」。営業部がこれを知らずにただただがむしゃらに案件を受注していたのでは、「誰も手をつけられない案件」が降ってくることになり、その下にいた技術者が圧死します。

人員配置の失敗

同じことは各案件に対する人材のアサイン時にも起こっています。技術者たちはチーム単位で個性を持っているのは前述の通りですが、個人単位でも得意分野・不得意分野は存在します。

例えばこれまでサーバ運用を主業務とし、シェルスクリプトに馴染んでいた技術者に突然iOSアプリの開発を命じるのは無茶です。会社自体がそちら側に舵を切っていくのであれば別ですが、運用の案件はまた別に降ってきます。そしてその下にいたJSPサーブレットで開発してきた技術者が圧死するわけです。

人材配置の権限を持つ立場の社員は、自分が動かせる部下たちがそれぞれどのような個性を持っているのかきちんと把握し、営業部と認識をすり合わせるべきです。各社員の技術力を測るため、と称して「スキル調査シート」なるものはありますが、記入するのが技術者本人なので精度はかなり怪しいものがあります。

HTML5を用いたブラウザアプリ開発に携わり、Javascriptを書くことに特化している。サーバサイドの開発経験はない」くらいの粒度でマネージャーが部下の技術力を把握すべきでしょう。

アジャイル開発」と呼ばれる終わりなき要件追加

最近「アジャイル開発」という名の終わりなき要件追加が続くようになりました。勿論アジャイル開発とはそのようなものではありません。社内開発ならいざ知らず、受託開発でアジャイルの手法を取るのは無茶というものでしょう。

これは完全に目先の受注額に目が眩んだ営業部の失策だと思っています。追加要件ひとつひとつに対していくら予算を追加させるか、最初からガッチリ決めておいてもらえると技術者も心安らかになれるというものです。

手柄が手柄にならない契約

うちの会社が長いこと問題視しているのが、「大手企業数社への依存率が高い」ということです。つまり大手企業数社相手に仕事をしているわけですが、それを「主要取引先」として企業概要に書くことはしていません。そういう契約になっているからです。最近はコンシューマー向け製品の受託開発も手がけているのですが、その製品を「うちが作った」と声高に言うことは許されていない状態です。

この状況は社員のモチベーションに対してマイナスの影響を与えている気がします。胸を張れる製品を作っても「自分たちが作った」と誇ることができない。誇ることができないから他人事のように感じられる。必然的にモチベーションも低くなる……という負のスパイラルに陥ります。

そもそも、より大きな契約を結ぶために「具体的な実績の提示」は欠かせないはずです。これをできないがために立場が低くなっているという現実もあると思います。「○○○○社の○○○○○○○○というアプリを作りました」と堂々と言えるような契約を結ぶようにしなければ、この先生き残ることはできないでしょう。

 

うちの会社の一番の問題は「病名:うつ状態」で休職しているような社員がこんなことを危惧している点だと思っています。なんでさ。

それでは、また。

僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか? (星海社新書)

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アジャイルな見積りと計画づくり ~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~

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