Re: 好きなキャラを貶めて愛でること
腐女子になって13年、テキストサイト全盛期からパスワード式ブログの出現、そして現在のPixiv×Twitterという同人作品発表モデル(?)の変遷を見てきた者として、見過ごせない記事があったので言及します。
「貶し愛」という愛で方について
id:maboroshitmさんの論旨を私は以下のように解釈しました。
- キャラクターを「ブス」と呼ぶツイートは見ている私が不快である。
- キャラクターはおまえの所有物ではなく、おまえに貶す権限はない。
- Twitterで奇声あげてる奴らは気持ち悪い。
- おまえの「ブス」ツイートのせいで、よく知らない人間がそのキャラを「へ~、○○ってブスなんだ~」と思ったらどうしてくれる!
この論旨自体がガバガバな気がしたので、ひとつずつツッコんでいきましょう。
TwitterのTLは自分が作るものである
まずこの記事を読んで感じたのは、id:maboroshitmさんはTwitterというツールを使うのに向いていないということです。
2ちゃんねるの創始者・ひろゆき氏の名言に「うそはうそであると見抜ける人でないと(掲示板を使うのは)難しい」というものがありますが、これは何も2ちゃんねるに限った話ではなく、Web上の全てのサービスないしコンテンツにいえることです。
Twitterも同様です。幸い、Twitterはフォローする相手を選ぶことができます。フォローした相手のリツイートを表示しないようにすることもできます。なんと、今ではミュート機能までついた次第。
「あ、この人私にとって嫌な発言をする」、そう思った時点でリムーブするなりミュートするなりブロックするなりすればいいのにしていない。
作り手の元を離れた時点で、キャラクターはもう受け取り手のものである。
虚淵玄だったか、奈須きのこだったか、はたまた別の人だったかは忘れましたが、見出しのような発言をしているのをどこかで見た記憶があります。
私自身二次創作で小説を書いていますが、作品というものは、発表してしまったらもう読み手の解釈に委ねられてしまうものなのです。いただいた感想に「ええー、そう解釈したか!」と驚かされることはしばしばあります。
ところでid:maboroshitmさんが以下のように挙げているキャラクターについてですが、原作者はわざと、信念を持って彼をブスに描いていると思います。
私は好きなキャラのことを、かっこいい、可愛いと思うから好きになります。
それは容姿だけではなく、性格や振る舞いにも当てはまります。
最もオタク界隈の方に分かりやすいのが某高校生ロードレース部活マンガで、初代ライバル校のアシストくんだと思います。

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私は話作りの上で、部活などの「チームもの」では「キャラクターのバランス」が重要だと思っています。
件のチームは6人で構成されています。そのうち3人は原作者公認の美形ですが、
- トラウマ持ち
- ナルシシズムを拗らせて周囲からウザがられている
- よく違う世界を見ている
と、性格に強いクセづけがされています。そして、「アシストくん」は彼らとは逆のクセづけをするためにあえてブスキャラにされていると考えるのが自然でしょう。ですから、彼を「ブス」と捉えている人たちの目はそんなに曇ってないと思います。
そもそも、ブスじゃなかったらid:maboroshitmさんは「アシストくん」を好きになっていなかったでしょう。性格も顔もイケメンで熱いパッションを持った男が好きならもう1校の「アシストクゥン」がいるからです。
id:maboroshitmさんにご留意願いたいのは、世の中「山神」のような整った顔立ちのキャラより、三白眼で歯茎剥いて長い舌で舌なめずりをするようなキャラの方が好きだという人も多いということです。彼女が「汎用人型兵器」に対してアレな発言をしていないか、老婆心ながら気になります。
「ブス」「うざい」「キモイ」から始まる恋もある(※ただし二次元に限る)。ここ、重要です。
日曜日の朝、ひたすら奇声上げてる人って鬱陶しいよね。わかる。
私がいわゆる「ニチアサ」を見るようになったのは「仮面ライダーオーズ/OOO」からなのですが、特撮で二次創作をしている人たちはアカウントに鍵をかけている人が多いせいか、奇声を発している率が高い気がします。
とくに、「仮面ライダーフォーゼ」でフォロワー同士が怪鳥音だけで会話するようになったときは、ふたりとも表紙や寄稿を頼むような仲でしたが、Twitterアカウントをリムーブしました。
これに関しては同情します。ご愁傷さまです。
2.5次元問題
件の記事のいやらしいところは、 id:maboroshitmさん自身が属するクラスタ(とでもいうもの)が抱える問題を後に持ってきて保身に入っているところです。
キャラが好きである前に、役者の熱烈なファンである前に、私たちは人間です。
人間と人間の立場があります。
なぜその役者さんは、大して面識もなければ親しくもないほぼ赤の他人から、自分の容姿をブスと呼ばれなければならないのでしょう。
例えブスと呼ぶ人が役者さんの熱烈なファンで、自分の写真集を買ってくれたり自分の出ているドラマや映画をかかさずに見てくれる人、つまり自分にとって利益をもたらす人だとしても、それがブスと言っていい根拠になるのでしょうか。
彼女が一番言いたいのはこの部分です。
「ブスと言っていい根拠になるのでしょうか」
なります。むしろ、あなたがその役者を本当に愛しているなら、「ブス」を演じられる彼を賞賛すべきです。作品の中に「ブス」として出演し、それが成功しているのなら彼の演技がそれだけ卓越しているということです。彼の技術を、彼の努力の結晶を、あなたは「見苦しい」と切り捨てるのですか?
役者の顔芸とアニメの作画崩壊とは全く違う問題です。役者の顔芸は仕事です。舞台であれ映像作品であれ、与えられた役割を確実にこなすのが仕事です。それはアイドルが「ファン全員の恋人」という役割を演じなければいけないのと同じです。
かつて私も舞台に立っていた時代がありました。そのとき、地区大会ではショートカットで男性を演じていた女性が、県大会出場のために自分の髪をほとんどスポーツ刈り一歩手前のベリーショートになって登校してきたのを見て感銘を受けました。
たかが――それがその瞬間の我々の青春のすべてであったとしても――高校演劇でも、役者はそれだけ身を張るのです。
釣り針でかすぎ
釣り針が大きすぎて自分の言いたいことほとんど言えずに3000字を越えたので、今回はこれで終わりにします。
俳優やアイドル、声優といった「2.5次元」についての昨今の問題は、id:reco_dさんあたりが詳しいのではないでしょうか。ニチアサの怪鳥音TL以来私はあまりそちら側にいい印象を持っていないので、詳しい方の意見を拝聴したいところです。